土地のコインパーキング転用による空き家対策
空き家の増加が社会問題化しています。国は2014年、「空家措置法」を制定しましたが、固定資産税を抱える所有者たちを救うものではありません。そこで注目されているのが、コインパーキングへの土地転用です。コインパーキング転用による空き家対策について解説します。
社会問題化する空き家問題
少子高齢化や人口減少により空き家が急増し、社会問題となっています。国の統計によると、1963年から平成20年の間に約15倍も増加。空き家率はおよそ5倍に増え、現在過去最高となっています。
空き家が増加する原因は、家を建てた人の子供が大人となり、新たに家を建てた後、家を建てた人が高齢化し、施設に入居したり、亡くなったりしたため、もとの家に住む人がいなくなるケースなどがあります。
ところが、空き家を取り壊すには相当な費用がかかります。土地の固定資産税は、空き家でも建物のあるほうが、更地よりも固定資産税が低くなるため、あえて更地にしないほうが得であるケースもあるのです。また、空き家を売却するにも中古物件にはなかなか居住者が見つかりにくいという現実もあります。
空き家は、老朽化や雪の重みによる倒壊、景観の悪化、不衛生による悪臭、放火による火災、犯罪の温床になるなどのリスクがあり、近隣住民に深刻な被害をもたらす危険をはらんでいます。
こうしたことを背景に、国は2014年、「空家等対策特別措置法」を成立させ、空き家に対して適切な管理への助言・指導・勧告・命令・跡地の活用促進・罰金や行政代執行、などを行えるようになりました。
ところが、所有者の多くは適切な管理や活用について解決策が見出せていないままというのが現状です。
コインパーキングへの転換で得られるメリット
コインパーキングは気軽に始めることができる土地活用方法と着目されています。専門業者が土地ごとに最適な運営・管理方法を考え、一括で土地を借り上げたうえでフェンスやアスファルト以外の初期投資、集金や機器メンテナンス、クレーム対応まで一切を請け負うことができるからです。
貸主としては、管理業務は一切発生せず、コインパーキングの売上・稼働に関係なく、毎月決まった賃料収入が得られるといったメリットがあります。契約は「一時使用賃貸借契約」なので、面倒な借地権や地上権は発生しません。契約期間は基本的に2年間なので、次の土地計画までの「間」を活用する方法としても有効です。
条件によっては駐車場管理会社が解体費を負担することも
コインパーキングの業者との契約は多種多様です。たとえば、コインパーキングにしようとする土地に空き家や空きビルがある場合、業者によっては解体から更地にするまでを担う場合もあります。つまり、貸主は投資ゼロで空き家、空きビル対策とコインパーキングへの転用といった一石二鳥を手に入れることができるのです。
中には、ランニングコストを負担する業者も存在します。このため、駐車場建設を考える際は、複数の業者から見積もりをとり、業者がどこまでの費用を負担し、どのように賃料として還元するのかなど、しっかりと確認しなければなりません。リスクや投資が低い一方、駐車場の稼働率が上がっても受け取る賃料は一定です。
コインパーキングは空き家対策の「救世主」になりうる
空き家対策が社会問題となっている中、コインパーキングへ転用する動きが出ています。コインパーキングは、まさに空き家対策の「救世主」となりうるのです。駐車場運営会社とは、さまざまな方法で契約することができ、建物の解体から負担する場合もあります。さまざまな業者から見積もりをとり、所有する土地や周辺環境に適した方法を探る必要があります。
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