増加する駐車場シェアリング
使用していない土地をインターネット上のシステムで登録し、一時的に駐車場として活用する取り組み「駐車場シェアリング」が、主に都市部を中心に広がりを見せています。
駐車場に限らず、さまざまな分野に広がっているシェアリングについて、解説します。
シェアリングエコノミーとは
シェアリングエコノミーの「シェアリング」とは、一言で表すと「インターネットを介して、使われていない資産を活用すること」を意味します。家屋を「民宿」のように利用する「民泊」や車を貸すカーシェアリングがその代表例です。そのほか、ペットの世話、家事、配達、ファッションのレンタル、起業投資、事業支援、車の相乗り、物置の提供など、ありとあらゆるモノやコト、そして時間を取り引きします。
都会を中心に駐車場シェアリングサービスも広がりを見せています。これは、所有している土地の一部をインターネットで予約をした利用者へ一時的に貸し出す方法です。たとえば、大規模なコンサートやスポーツイベントなどが行われる際や週末や祝日の観光地など、周辺の駐車場は軒並み満車となり、交通渋滞を起こすことがよくあります。このようなとき、会場や観光地周辺の土地をあらかじめ、駐車場シェリングサービスに登録し、利用者を見込むわけです。
インターネットで駐車場シェアサービスを検索すれば、たとえば特定の球場周辺、コンサートホール周辺などで登録者を探しています。ネット上に自分の土地を登録するだけで空いている土地を一時的に駐車場として活用できるので、初期投資、契約の手間は一切かかりません。
シェアリングサービスは利用者と提供者が、PC、タブレット、スマートフォンを通してつながります。一般企業から売買、レンタルするより、安く売買、貸し借りできます。
シェアリングサービスは、今では西欧社会を中心に、急速に新たな経済システムを形成しつつあります。このことから、「シェアリングエコノミー」と呼ばれています。シェアリングエコノミーの市場規模は、2013年で約150億ドル、2025年には約3350億ドルまで成長すると予測されています。
手軽さと利便性で利用者増加
駐車場シェアリングは、インターネットの普及により、日本でも利用者が増えています。ただ、見ず知らずの個人と個人がサービスの提供、利用をするため、トラブルが発生したらどうすればいいのか、といった不安は常につきまといます。このため、事前に本人の公的な身分証明書の登録や提出を求め、互いに確認し、安全や信頼を確保する仕組みが一般的です。
また、シェアエリングサービス業界全体で言えば、サービス提供後に利用者と提供者のレビューによる相互評価制度がある場合もあります。お互いが相手のサービスやマナーなどを評価し、信用への担保とするのです。このような評価システムは、タブレットやスマートフォンなどで利用する前に確認できます。したがって、信用が高くなればニーズは上がり、低ければ下がることになります。信用が可視化されるため、トラブルを防止するだけでなく、利用者のマナーや向上、提供者のサービス向上につながっています。
責任の所在等のリスクも
駐車場シェアリングをはじめとするシェアリングサービスは、想定外のスピードで広がっているため、事故やトラブルに対して保険や法律が追い付いていない、といった現実もあります。これらのトラブルに対応すべく、サービスのプラットフォーム事業者による、一般社団法人シェアリングエコノミー協会が発足。新民泊法の成立により、2017年6月からシェア事業に関する国内認証制度が導入されました。大手保険会社は、この認証制度を土台に、シェアリングエコノミー認証事業者向けの専用保険を売り出し、事業環境が急速に整備されつつあります。
この専用保険は、サービスのプラットフォーム事業者とサービスを提供する個人の双方に対人・対物事故が生じた際、賠償責任を補償する一方、個人情報漏洩や事故対応に必要な費用を補償する内容です。
まとめ
駐車場シェアリングも含む、シェアリングエコノミーは、新たな経済システムになるほど、急速に拡大しつつあります。このことにより、エネルギー問題、環境問題など社会が抱える課題解決のほか、人と人がつながる出会いの場として期待されています。しかし、サービスの質や法整備、インターネットの技術格差、生活習慣などが追いつけていないという問題があります。次々と新たなサービスと技術は生まれ、予測もできないトラベルが発生するといったリスクははらんでいますが、新たなライフスタイルとして定着することが予測されています。
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